小児科一般
お子さんの体調不良や、何かちょっとした様子の変化など、少しでも不安を感じた時に受診いただけるのが当クリニックです。基本的に赤ちゃんから15歳までのお子さんに関し、小児科一般の幅広い診療を行います。
小児科でよくある症状としては、
以下のようなものがあります
- 発熱
- せき、くしゃみ
- のどの痛み
- 鼻みず、鼻づまり
- 腹痛
- 便秘
- 嘔吐
- 下痢
- 肌にブツブツができた
- ひきつけ(痙攣)
- おねしょ
など
この他にも、「機嫌が悪い」「いつもと泣き方が違う」「何となく元気が無い」「顔色が悪い」「食欲がない」「お肌がかさついている」など、気になったことがあれば、お気軽にご受診ください。また、お子さんの貧血や肥満といったことにも、ご相談に応じています。
小児科一般でよくみられる疾患としては
以下のようなものがあります
- 急性上気道炎(かぜ)
- 突発性発疹
- インフルエンザ
- 急性中耳炎
- ヘルパンギーナ
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 熱性けいれん
- 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
- 扁桃炎
- 水痘(水ぼうそう)
- 麻疹(はしか)
- 風疹
- 手足口病
- 溶連菌感染症
- りんご病(伝染性紅斑)
- 水いぼ(伝染性軟属腫)
- とびひ(伝染性膿痂疹)
- ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)
- アトピー性皮膚炎
- 気管支ぜんそく
- 花粉症(アレルギー性鼻炎)
- おむつかぶれ
- 乳児湿疹
- あせも
- とびひ
- 夜尿症(おねしょ)
- 気管支炎
- 肺炎
- 尿感染症 など
- 学校の健診などで何らかの「異常」や「指摘」を受けたお子さんの診療も行いますので、遠慮なくご相談ください。
ご受診にあたって
お子さんのご様子につきまして、以下のような情報をいただけますと、診察がスムーズになります。わかる範囲で結構ですので、ご協力いただければ幸いです。
- 現在の症状や様子
- その症状が現れ始めた時期
- 熱、せき、痰、鼻みず、のどの痛みがあるか、あればどの程度か
- おしっこやうんちの状態(可能なら撮影してお持ちになると、診断の助けとなります)
- 食欲はどの程度あるか
- これまでの薬に対するアレルギー反応の有無、またはあると言われたことがあるか
- 現在、服用させている薬があるか(お薬手帳があればお持ちください)
- 継続して通院している医療機関があるか
- これまでに経験した大きな病気や手術、入院の有無について、あればお教えください
など
診療は原則として予約順(および受付順)で行っていますが、下記のような症状がみられた場合、迅速な診療が必要となることもございますので、お申し出ください。
- 何度も嘔吐を繰り返して、ぐったりしている
- ひきつけ(痙攣)を起こしている、またはその直後である
- 激しい頭痛や腹痛がある
- 喘息の発作等により、呼吸が苦しそうである
- ウトウトして目つきがおかしく、ぐったりしている
- 周囲の刺激に反応しない
など
- 上記のような症状のお子さんがいらっしゃる場合には、診察の順番が前後することもあります。皆様のご了承とご協力を、あらかじめお願いいたします。
- 診察の結果、より高度な医療環境による詳細な検査や、入院加療が必要と判断した場合は、連携する地域の医療機関にご紹介いたします。
- また火傷や骨折など他科による専門的な治療科必要と認められた場合は外科、整形外科、また耳鼻咽喉科、眼科当の専門医療機関をご紹介いたします。
主な症状について
熱性けいれん
生後6カ月~5歳くらいのお子さんが、急な発熱に伴ってけいれんや意識障害を引き起こすのが熱性けいれんです。通常、風邪やインフルエンザなどの感染症により38℃以上の発熱があった際など急激に体温が変化するときに発症します。一度熱性けいれんを発症したお子さんのうち、半数近くが繰り返しますが、成長に伴い6歳前後でほとんど起こさなくなります。日本では小児のおよそ8%が罹患するという、珍しくはないもので、脳に影響を及ぼすことはまれであり、基本的に経過は良好です。
症状としては、急に手足をかたくして突っ張ったり、手足をぴくぴくさせたり、その両方が連続するなどがあり、体全体に起こる場合、半身あるいは手足の一部に起こる場合があります。また手足に突っ張りや痙攣は起こらずダラッとして、意識だけがなくなる場合もあります。最初は驚かれるでしょうが、通常は数分で収まり、もとに戻ります。ただし、繰り返したり、長く痙攣が続いたり(5~10分以上)、なかなか意識が回復しない場合は、早めにご受診いただくか、救急車を呼ぶ必要があります。
熱性けいれんの場合、38度以上の発熱から24時間以内に発症することが多いのですが、2、3日発熱が続いてからけいれんを起こした場合、また、痙攣が長く続く場合は、熱性けいれんではなく、髄膜炎や脳炎の可能性がありますので、注意が必要です。もともと両親や兄弟が子供のころに熱性けいれんを起こしたことがあると、発症する率が高くなることが分かっており、遺伝が関係していると考えられています。
子どもの肥満
小児期、特に年長期の肥満は、思春期の肥満に持ち越されることが多く、思春期の肥満は、そのほとんどが成人の肥満に移行します。これは思春期に体格の形成や生活習慣の確立が進んでしまうためです。肥満は成人だけでなく、小児のころから動脈硬化を進行させるため、近年、思春期時点に肥満であった人は、そうでなかった人に比べ、老年期以降の健康や生活の質に悪影響があることが報告されています。そうしたことを防ぐためにも、小児のころから肥満対策をすることは非常に重要です。
小児期は成長期であるため、それが肥満改善に有利な特性をもたらすため、成人期における肥満改善よりも、容易で、さらに効果が持続しやすい傾向にあると言われています。
肥満は摂取したカロリーと消費するエネルギーのバランスが乱れ、カロリー摂取過剰になることが要因となります(ある種の疾患が原因となる二次性肥満を除く)。肥満には「脂肪細胞増殖型」と「脂肪細胞肥大型」があり、小児期からの肥満は前者が多く、成人以降は後者が多いとされています。思春期までに脂肪細胞を増殖させないことが、成人以降の肥満対策としても重要になります。
肥満対策としては食事療法および運動療法が中心となります。さらに生活面での改善も重要になります。できるだけ早いうちから対策を講じることが大切ですので、肥満がご心配の場合は、早めにご相談ください。
子どもの貧血
乳児期や思春期は、実は鉄欠乏性貧血が起きやすい時期です。生後間もなくは母親からもらった鉄分があるため欠乏することはありませんが、母乳に含まれる鉄分は少なく人工乳も吸収率が低いため、生後4~5カ月くらいになると鉄が欠乏し始めます。離乳食も始まる頃ですが、あまり食べなかったりバランスが悪かったりすると、鉄分が不足してしまいます。そのため、生後9か月~2歳くらいで、貧血がよく見られるようになります。
また思春期では、体が急成長する時期であるため、血液や筋肉量の増加とともに鉄分がより必要になります。また女性の場合、月経が始まることで鉄分が失われています。このように鉄分のバランスが崩れるため、貧血が起こりやすくなります。
鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行するため、体が慣れてしまい、気づかずに進行することが多くなっています。集中力が続かなかったり、学業不振になったりということの原因に、鉄欠乏性貧血がある場合があります。子どもの鉄欠乏性は血液検査によって診断することができます。治療としては、鉄剤や鉄シロップ、顆粒剤などの内服が中心となります。加えて、日々の食事の栄養バランスを考えていくことも大切になります。
因みに夏に限らず氷を好んで食べる氷食症は、鉄欠乏性貧血の特徴の一つであると言われています。また、子どもの貧血には、白血病、神経芽腫、悪性リンパ腫といった小児がんなど、命に関わる重大な疾患が隠れている場合がありますので、注意が必要です。小児がんの中で最も多いのは急性リンパ性白血病ですが、近年の治療の進歩により、約80%の人が治癒するようになったと言われています。早期に発見し、早期に治療を行うことが大切です。
急性上気道炎(風邪)
風邪はウイルスに感染することによってひき起こされます。原因となるウイルスはいくつもあり、何度も感染する場合があります。特に小児は大人に比べて免疫力が弱く、幼稚園や学校での同世代との接触も濃厚であるため、風邪をひきやすいと言えるでしょう。
ウイルスは細菌と違って抗生物質も効きません。感染症に対しては免疫力を付けることが重要で、風邪をひいて治ることで免疫力が獲得されますので、風邪に罹らないことに対して、神経質になり過ぎないことも大切かもしれません。
症状としては、上気道(鼻からのど、気管の入り口にかけての空気の通り道)にウイルスなどの病原体が感染し、炎症を起こすことでくしゃみ、鼻みず、鼻づまり、発熱、のどの痛み、せき、痰、頭痛などが現れます。乳幼児では、38〜40℃と高熱を発する、症状が強くなるなどの場合があります。脱水症状を引き起こさないよう、水分をしっかりと摂り、栄養補給をして安静にしていれば、基本的には自然に治癒します。
気管支炎
子どもの気管支炎は、風邪(急性上気道炎)の中でもウイルス感染による炎症が下気道(気管・気管支・細気管支)に及び、痰などの症状が強くなったものを指します。痰が絡むような咳が特徴的で、風邪の症状を伴うことや、下痢を伴うこともあります。2歳以下のお子さんでは、喘息のようにゼイゼイという呼吸することもあり、その場合は急性細気管支炎と呼ばれることもあります。
ウイルス感染による気管支炎の治療薬はなく、症状を鎮める薬としては鎮咳薬や去痰薬、消炎薬、気管支拡張薬などが用いられる場合があります。細菌による気管支炎の場合は、抗菌薬を用いる場合があります。お子さんの場合、慢性気管支炎にはほぼならないと考えられており、急性気管支炎の場合は、治癒までに25日間くらいかかるという報告があります。
肺炎
子どもの肺炎の場合、「熱」「咳」「痰」が主な症状で、重症化すると多呼吸や呼吸困難などを引き起こすこともあります。発熱は肺炎の原因によって微熱から高熱と様々で、咳は痰が絡んだ湿ったものが多く、乾いた咳は少ないとされています。また初期には風邪症状がみられることも多く、肺炎と診断するのが難しい状況ですが、発熱や咳、痰の症状が3日以上続く場合は、肺炎か疑われますのでご受診ください。
肺炎の原因としては、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎、マイコプラズマ肺炎、誤嚥性肺炎などがあります。
ウイルス性肺炎
ウイルスが鼻や喉から肺に感染することで発症します。3歳未満のお子さんがかかることが多く、原因となるウイルスにはRSウイルスやパラインフルエンザウイルスなどがあります。細菌性肺炎よりは重症化しにくいと考えられていますが、1歳未満の赤ちゃんがRSウイルスによる肺炎を発症した場合、非常に重症化し、激しい咳や呼吸困難、チアノーゼが現れ、命に関わる場合がありますので注意が必要です。
細菌性肺炎
原因となる細菌としては、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などがあります。これらは常に身近にある常在菌と呼ばれるもので、気管支粘膜がウイルスによる風邪などによって炎症起こしたり、免疫力が低下したりすると、感染して肺炎を発症する場合があります。適切に抗菌薬を使用することによって比較的速やかに回復しますが、黄色ブドウ球菌の感染では胸腔内に膿が溜まる膿胸を引き起こす場合があり、要注意です。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという微生物が原因となって発症するもので、6歳以上のお子さんが罹りやすいと言われています。高熱と乾いた咳か続くことが特徴ですが、重症化しにくく、命に関わることはほとんどないとされています。マイコプラズマに有効な抗生剤があるため、治療としてはそれを使用します。通常、投薬後2~3日で改善しますが、マイコプラズマの薬剤耐性菌である場合、症状が数週間続く場合があります。
誤嚥性肺炎
何かを誤嚥や誤飲をした場合は肺炎の原因となります。なんでも口にしてしまう1歳前後のお子さんは、誤嚥性肺炎を引き起こしやすいので、注意が必要です。誤嚥して肺炎を引き起こす可能性のあるものとしては、食べ物の他にはタバコや化粧品、洗剤、冬場には灯油などもご縁の危険性があります。食べ物はのどに詰まって成分が溶け、肺や気管に炎症を起こします。また各種化学物質を誤嚥することで肺に障害を起こすことは少なくありません。さらに子どもの場合、自分の胃液や食べたものが逆流しやすく、それが気管に入って肺炎を起こす場合もあります。
嘔吐下痢症
お子さんの嘔吐や下痢は、多くの場合、ノロウイルスやロタウイルスによる急性ウイルス性胃腸炎です。5歳までのお子さんで入院が必要となる胃腸炎のおよそ半数が、ロタウイルスによるものだと言われています。冬から春先にかけて発症しやすく、ノロウイルスの場合は嘔吐、ロタウイルスの場合は米のとぎ汁のような下痢が主な症状となります。熱を伴わないことも多く、発熱したとしても38℃程度に収まります。
これらのウイルスは、食べ物や井戸水、飛沫、嘔吐物や糞便を介して感染します。ノロウイルスの場合は1~2日間の潜伏期間を経て発症し、初日が最も強い症状をみせ、その後は次第に収まっていき、3日ほどで改善します。ロタウイルスでは、下痢のほか、嘔吐や発熱も見られる場合があり、3~8日程度続き、改善するまでには1~2週間程度かかります。ロタウイルスの場合は、まれに脳炎を併発することがありますので、注意が必要です。
治療としては、ウイルスに対する直接的な治療薬はないため、脱水を起こさないようにするための点滴や、発熱あった際は解熱剤を用いるなどの対症療法となります。ご家庭でも脱水を予防するため、経口補水液などで水分補給をすることが大切です。一方、嘔吐や下痢はウイルスを体外に排出するための反応でもありますので、下痢止めや吐き気止めは使用する場合は慎重に行います。ご家庭でもむやみに下痢止めや吐き気止めは使用せず、医師にご相談ください。
他に嘔吐や下痢症状を呈する病気としては、大腸菌、サルモネラ、キャンピロバクターなどの細菌感染による「食中毒」があります。血便がみられるなど食中毒が疑われる場合は、抗生剤による治療が必要になります。
尿路感染症
尿路とは、おしっこの出口である外尿道口から尿道、膀胱、尿管、腎臓(左右2つと尿管とつながる、それぞれの内側の腎盂)と続く器官からなります。尿路感染のほとんどは、主に大腸菌などの細菌が外尿道口から入り込み、各器官に侵入することで発症します。発症した場所により、亀頭包皮炎(男児の場合)、尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎などと診断されます。
膀胱炎にとどまっている状態では発熱などはありませんが、おしっこの回数が多くなったり、出にくくなったり、痛みを伴う場合があります。発熱がみられる場合は、腎盂腎炎が疑われます。腎盂腎炎を発症した場合は、高熱、腹痛、吐き気、嘔吐、だるさなどの症状を呈し、新生児では黄疸がみられる場合があります。さらに感染が腎臓自体に及んでしまうと、腎障害を引き起こす危険性がありますので、早期に治療を行うことが重要になります。
治療としては、感染が膀胱までにとどまっている場合は、抗生物質の内服を行います。それにより1~3日で症状の改善が見られ、トータル7~10日服用することで治癒が望めます。高熱があり、腎盂腎炎が疑われる場合は、点滴による抗生物質の投与を行い、発熱が収まったら内服に切り替えます。トータル2週間程度で治癒が望めます。尿路感染症については、尿中の細菌の有無で診断できますので、ご心配の場合は早めにご受診ください。